「もう我慢できない」。鋼材値上がりと受注価格下落の板ばさみに苦しむ鉄骨業界がついに立ち上がった。 全国の鉄骨製作工場有志600人以上が結集して3日、東京・千代田区の東京商工会議所ホールで全国鉄骨業不況突破大会を開いた。 この中で、共同積算、共同受注の推進、赤字・安値受注の排除、利益重視の経営推進などを掲げる大会決議を採択。 大会会長を務める橋本誠・全国鉄構工業協会会長は、「1社だけの力では作れない流れも、多くが集まれば大河となる。この大会に集まった有志が力を合わせ、適正価格を取り戻すため決意新たに誇りを持って立ち上がろう」と訴えた。
今回の大会は、鉄骨製作工場の苦境を限界とみた橋本会長が、全国に呼びかけて実現した。来賓には、脇雅史、岩井國臣両参議院議員、建設産業専門団体連合会の山崎善弘会長、鉄骨建設業協会の毛利哲三会長らが出席、それぞれ応援のメッセージを贈った
この中で、脇議員は「建設産業がしっかりしなければ、国や県が成り立たない。公共事業を無駄とする論調を変えるためには、自ら立ち上がるしかなく、今回の大会はまさに時宜を得たものだ」と強調。 また、山崎会長は、「鉄骨業が抱えるさまざまな課題は、専門工事業全体にも当てはまる。逆風を追い風にする手法を一緒に考えていこう」と呼びかけた。
大会では、共同積算、共同受注、学校建築の鉄骨造化推進など、鉄骨業の将来を展望する7テーマで意見発表が行われた。北海道機械工業会の田島喜幸理事は、「どん底にある経営を立ち直らせるためには、共同積算が不可欠」と主張。また、東京鉄構工業協同組合の池田英敏理事長は、「民事再生法で借金を棒引きにされた企業が、超安値価格で受注を繰り返し、市場価格を実態と離れたレベルに引き下げている」と厳しく指摘した。
さらに、全構協青年部会連絡協議会の上野勝弘会長は、鋼材費値上げの影響や工場認定制度の存在意義、加えて新しい産業への挑戦などに触れながら、「一人一人が声を上げ続け、新たな挑戦者となることが、鉄骨業の明るい未来への突破口となる」と結んだ。
【解説】 不況突破大会を全国的規模で開催するのは昭和51年以来、実に27年ぶり。このことが、ぎりぎりまで追いつめられた鉄骨業界の現状を端的に表わしている。
ピーク時1200万tの鉄骨需要量は本年670万tとほぼ半減する見込み。受注金額ベースでは4分の1程度まで落ち込んでいる。4500社以上あった全国鉄構工業協会(全構協・橋本誠会長)の構成企業は、3000社を割り込んだ。
建設業全体が不況の中、特にこの業界を苦しめているのは、鉄骨の原材料となる鋼材の値上げ。鋼材を作る高炉(ミル)メーカーでは、他産業や海外市場の活況を受け、本年度に入って値上げを繰り返した。加えて、生産も他産業向けを優先し、納入が大幅に遅れるケースが生じている。
鉄骨業界は、すでにゼネコンなどを回り、発注価格の値上げや契約早期化の実現を要望。また、製作工場の経営体質強化に向け、共同受注や共同積算のシステム構築・運用を推進してきた。今回の大会は、これら一連の取り組みの集大成であり、鉄骨業の強い意志を示したものとして意義は大きい。
一方、ゼネコンからは「自ら過当競争にさらされている」「極端な安値で引き受ける工場が多い」といった指摘もある。価格適正化の必要性は理解しつつも、まずは自分の生き残りが先決といったところだろう。
全構協では、鉄骨業の元請化を見据え「鉄骨瑕疵(かし)保証保険制度」を本年からスタート。さらに、全構協も加盟する専門工事業の連合組織・建設産業専門団体連合会を通じて、建設業法上の工事種別に「鉄骨工事業」を新設するよう国に求めるなどで、自立の道を模索し始めた。
元請依存の体質を改善し、企業・業界の競争力を強化するため、鉄骨業には合併、協業化、新分野への展開も視野に入れた本格的な経営革新の取り組みがより一層求められている。
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