耐震偽装事件をきっかけに、抜本的な見直しが迫られた建築法制。2007年6月に施行された改正建築基準法は社会にどんな影響を与え、今後はどうなっていくのか。08年11月末の施行を見込む改正建築士法は建築生産の現場にどのような変化をもたらすのか。2回にわたり、国土交通省住宅局建築指導課の水流潤太郎課長に聞いた。 ■―改正建築基準法の施行が与えた影響をあらためて振り返ってください □「法施行後、建築着工は大きく落ち込んだ。新設住宅着工戸数で見ると、7月は前年同月比23.4%減、8月は43%減、9月は44%減となった。ただ10月からは下げ幅が縮小し、1月の新設住宅着工戸数は前年度比5.7%減まで回復した。この回復の動きを確実なものとするため、引き続き取り組みを強化・継続していきたい」
■どのような取り組みを講じてきたのですか □「法施行の円滑化を図るため、Q&Aなどさまざまな情報のホームページ掲載、電話相談室の開設のほか、運用上の留意点について技術的助言を都道府県などに通知した。合わせて、関係団体や実務者などを対象とした説明会を開くなど、周知徹底に向けた取り組みも展開してきた」 「さらに経済産業省の協力を得て、資金繰りに苦しむ建築関連の中小企業者をセーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)やセーフティネット保証の対象に追加した」
■これからどんな対策を講じていくのでしょうか □「構造設計者に対する支援が最も重要と考えている。申請に苦労したり、構造計算適合性判定(適判)で指摘を受けて回答に苦労している設計者が多いと聞いている。1月31日付けで建築確認申請支援(サポート)センターを有効活用するよう特定行政庁に通知したところだ」 「また適判で指摘されることが多い事項を建築行政情報センター(ICBA)のホームページに掲載した。構造設計者からは『もっと早く出してほしかった』という声も寄せられており、有益な情報だと考えている。どういう点が適判で引っかかりやすいかを把握してもらえれば、建築確認手続きがスムーズになるだろう」
■依然として、適判の対象となる建物の手続きが低迷しているようです □「2月18日に構造計算適合性判定に関する講習会を開き、319人が「審査能力を有する」と判断された。これまでの名簿登録者を含めると、2000人以上が判定員となるための能力があると認定されることになり、判定員の数自体は充足されたと考えている。あとは、それぞれの適判機関が非常勤判定員や補助員を有効に活用することが重要。うまくいっている事例を集めて各機関に周知していくつもりだ」
■大臣認定構造計算プログラムの開発状況を教えてください □「NTTデータのプログラムを2月22日付けで正式に認定した。構造設計者は自分が使っているプログラムが認定されることを待ち望んでいると思うが、今回の認定によって他のプログラムの開発にも刺激になればと思っている」
■改正法の今後をどのように考えていますか □「現場への情報提供が十分でなく、混乱を生じさせて多くの方々に多大な負担を掛けてしまったことは率直におわびしたい。ただ、建物の安全を確保するために必要な制度であることは間違っていないと信じている。改正法が定着することで、偽装防止というだけでなく、日本の建築生産の現場が合理的な生産の仕組みに変わっていくことを期待したい」
<建通新聞・静岡 2008年3月24日付>
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