和とか洋とかでくくれない本格的日本の家のデザインを追求し、木造在来軸組工法、国産材、自然素材にこだわります。

株式会社若山建築事務所

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住まいづくりの実践K「高さ」

2005年05月17日
建築において、その高さはとても大きな意味をもつ。ちょっと高さを間違えただけで、建物の様相は一変する。

 もう十数年も前のことになるが、露地の腰掛待合いの図面を描いたことがある。起伏のある山中での数奇屋の建物の造園にからめた仕事だった。
 茶室に向かって露地が下がっていた。待合いは高い所に立ち、茶室から少々見上げる形になる。私は二、三度足を運び、高さの設定に悩んだあげく、軒先五尺二寸で決めた。少々低く、少しかがまなければ入れない。いつもよりもさらに低めに設定した。
 大工さんに図面を渡し、建築のお願いをした。いろいろなことを心得た職人さんで、任せて安心だと思った。この仕事において、私は現場監理まではできなかった。

 待合いが出来たと、庭師さんから連絡が入った。出来はどうか、と聞くと、電話の向こうで、どうも立ちが高く見えるんだが…、という答えが返ってきた。どきりとした。
 そんなはずはない、と思いながら、次の日にあわてて見に行くと、やはり見上げる位置の待合いは少々のっぽに見える。軒先の高さを測ったら、五尺七寸あった。
 しまった、と思った。大工さんに聞くと、ちょっと低かったから、頭が当たるといけないから気持ち持ち上げたんだよ、と言う。悪びれた様子はなかった。
 これは少々変わった寸法だけど、訳があるんだよと、図面を見せながら念を押さなかった私が悪い。恥ずかしかった。

 のっぽの待合いは、腕のいい庭師さんのおかげで、足元が木陰で隠され、そのスタイルの悪さはカバーできたが、今思い出しても悔恨の念がわき上がってくる。今でも恥ずかしいという思いは消えない。

 低く深く陰影の濃い数奇屋のフォルムを現代的に表現する、というデザインコンセプトで、雨楽な家の広島新モデルはつくられている。だから2階の桁下は1800しかないのだ、と言うと、皆さん一様に驚いた顔をする。
 天井は高ければ高い程いいのだ、というような考えが一部で根強くあるが、建物の内部空間のバランス的美しさを考えると、そうとばかりは言えない。
 茶室の天井がむやみに高かったらどうだろう。あの落ちつき、あの空間の広がり、あの情緒は、変化に富んだ天井の仕上がりと、その高さの設定のなせる技なのだ。
 掛込天井に平天井。その組み合わせによって、低さを感じさせない豊かな空間がつくり出されているのが、雨楽な家の内部空間なのだ。

 その数字だけ見て、低いから高くしてみた、という人たちに会うことがあるが、高さの設定はあまりいじらない方がいい。数字だけを見て高い低いを判断していては、その空間の本当の広がりとバランスの妙は見えてこない。

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